《揉んではいけない肩こりの秘密》

 肩こりには揉んでも良い肩こりと、揉んではいけない肩こりがあります。辛い肩こりは他者に揉んでもらうと、とても気持ちが良いですね。しかし、中には『揉まれるのは嫌だ!』という反対の人もいるのです。つまり、肩を揉むと吐き気がしたり、口では表現しがたい体の不調を感じる方がいらっしゃいます。整体には瞑眩反応と言いまして、骨格や筋肉の状態が、大きく変化することで一時的に強い症状が出たり、まったく違う箇所に違和感が発生することがあります。それはまるで運動会の、次の日のような状態と考えると分かりやすいです。しかし問題は、肩を揉まれること自体に問題が発生する人の場合です。

 

 私どもにも『肩を揉まれるのは怖いのですけれど?』とおっしゃる方がいます。よくよく話を伺いますと、必ず肩を揉まれた後にひどい違和感が続くそうです。この症状を訴える方に共通していることが体に表れています。

 

 頸椎や胸椎に不要のデコボコやひっこみなどの凹凸があります。また強い症状を訴える方に共通している事項に、頸椎の折れ曲がりがあります。一般の方や、この知識のない方が見ても判断出来ませんが、見る人が見ると明らかに問題があるのです(背骨の矯正を主とする整体の流派の多くで、実は背骨の変異をまったく見ない、見ることが出来ない場合もあります)。

 

 つまり、上記の状態の人には肩を揉むことは出来ないのです。マッサージすらダメな人も多いですね。こんな方には矯正など、けがや事故のもとですね。

 

 

 

〘揉まない施術法〙

 

 この状態の方への最初のアプローチは、まず頸椎の折れ曲がりの確認と、その影響範囲と腕や背中、胸などへの影響範囲を掌握する必要があります。同時に連動性(筋肉同士の相対関係の特性)の問題の掌握が必要です。

 これが理解出来ると後は安全第一。無理をせずに首への負担を緩和する施術をします(揉んだり押したりしてはいけません)。

 例えば、腕の筋肉のねじれの解消などが有効です。次に腕の左右のバランスを整えます。肩の上部に変異した僧帽筋を押し下げて、背骨のデコボコを緩和します。その後、背中、腰、お尻、足へとバランス調整を進め、再びお腹、胸、腕と肩に近づきます。大まかなところ、このような手順でソフトなバランス調整を展開して、背骨の変異を取り除いていきます。この場合、基本的には肩そのものは、揉んだり押したりする必要性は、技術的にはありません。

 

 肩こりは「コリ物質が原因」ではありません。肩こりの要因の一つとしては「コリ物質が原因」と言えますが主因ではありません。むしろ、コリの発生のメカニズムと、そのシステム的な問題が主因と言えるでしょう。つまり肩こりに対して、揉む方法論から抜け出せなければ、本当の肩こり対策は出来ませんね。詳細は紙面では書籍一冊以上になりますから、別の機会に詳しい発表が出来れば良いですね。

 

 

 

〚自分で出来る肩こり対処法!〛

 

 肩こりの原因で一番重要なことは、肩こりを起こさないための筋肉が無いことにあります。単純に言うと、筋肉が足りないということですが、正確には筋肉の筋バランスが悪いのです。ですから単純に筋肉を鍛えても、問題の解決には繋がりません。また、コリの解消や緩和と根本的な体質的な改善では、考え方も異なりますから注意が必要です。

 一般に、肩こり解消法なる書籍があったり、テレビの健康番組などの肩こり解消法についても、正確な理解が必要です。今現在のコリの解消をしているのか、根本的な改善なのかを理解しながら体を動かすと良いですね。

 

 これはあくまで一般的な肩こりについてですが、腕の筋肉の機能低下、可動範囲の低下、肩より腕を上げることがない生活が続くための問題などが、腕に関しての原因と言えます。軽くまんべんなく腕を叩いてあげても即効性があります。また、立ち上がって腕を交互に振る運動も有効的です。まずは少しづつ腕を大きく動かす生活をお勧めします。

 

                                つづく