《北海道の山々は、ひぐまさんのお家!》

 最近、休日といえば、私はほとんど山の中にいます。それも人里を離れた林道の奥深くです。

  今回のお話は、北海道の山奥といえば…の「ひぐまさん」のお話です。ですが、何十年も北海道に住んでいる人でも、自然の中で野生のクマさんを見かけた人は、ほとんどいないでしょう。私の周りにも、私も含めて誰一人おりません。

 ここ最近、札幌市内でも冬が近づくと、ひぐまさんの市内見物も話題の一つになりますね。実際のところ、クマさんが市街地に現れたというニュースを聞くと、なぜか親近感が生まれ、恐さを忘れてしまいがちです。

 けれども、野生のクマさんとの直接遭遇は、絶対に避けなければ命の危険もあり得ます。

 北海道でも登山は人気があり、思いのほか山奥に人が入っています。中でも人気のない山は人の入山も少なく、山道も荒れ果てており、笹や背の高い草木が覆い茂っています。薄暗い山道は実に不気味です。そんな山道でも、必ず何人かの登山者に会います。

 でも、北海道の登山者がクマに襲われたというような話は、特殊なケースを除いて、基本的には聞いたことがありません。同じ山でも、ごく稀にクマに襲われるケースとしては、山菜取りの人が多いようです。クマさんの食糧に手を付けてしまったのでしょうか。山菜取りの人数が特別に多いという話でもないですから。

 実は、私はそのクマさんたちと、接近したことがたくさんあるようなのです。しかも私の同行者には、クマさんの存在が理解出来なかったケースも多々あるようです。

 以前、「神居尻山」という札幌近郊の山の、下山中に起きた出来事です。メンバーは10人。この登山の前に、私たちはクマさんに出会った時の対処法の練習をしていました。それは、先頭を歩く人がクマを発見した時に合図し、それを全員に速やかに連絡して行動することだったのですが、実際にはまったく機能しませんでした。

 この下山中に、私はクマの気配を感じ、途中から先頭を歩いていました。しばらく歩くと道民の森という公園の敷地内に入り、森の中を抜け笹薮が広がる、比較的見通しの良い西斜面が始まり、私は少し緊張を解きました。

 その時、遠くから車が山道を必死で登るような、唸り声が聞こえ始めました。それは確かに急な山道を登る、車のエンジンの悲鳴のようにも聞こえました。それを聞いたメンバーたちの感想は、このようなものでした。

 「ああ、もうすぐ駐車場が近いから?」

 「えーっ、駐車場?」

 えー、思うのも当然で、駐車場の先には車道はありません。しかもここは、山奥といえど、車が唸るような急な上り坂はまったくないのです。

 私はとっさに「クマだ!」と思いました。それもごく近くに(たぶん20m以内)! そこで私は「クマ発見の合図」を出しました。しかし、誰一人として反応しません。しょうがなく小声で「クマだ!」と真後ろの人に伝えました。

 ところが信じ難いことに、真後ろの人は、さもいぶかしげに「どうしたの?」と、不満の様子。いくらクマがいることを教えても、まるで信じていない。むしろ、反抗的なくらいです。

 ですが、おそらくクマは間近にせまり、もはや猶予はありません。私は大声で「クマがいるから準備しろ!」と大声でどなりました。

 それでも信じていない後ろの人たち!

 しょうがなく、説明することに。

 ここには車が唸るような坂道が無いこと。10人いた仲間の半分から後ろの人には、その音(唸り声)が聞こえていないことから、音源は20m以内であること(本当は15m以内でしたが、パニックを避けて嘘を言った)。それらを説明して、渋々納得したのでした。

 下山後、私の「激怒の反省会」があったことは言うまでもありません。

 あの時、私以外にあの音を「熊の唸り声」と判断する人はいませんでした。反省会で全員の話を確認した結果、多分、二頭の子グマが笹薮に伏せていたこと、親グマはたまたま近くにいなかったであろうことが分かりました。

 クマは金属的な音を発することがあるので、一般的にイメージされる「ウォ~」とか「ガオーッ」とかという声に縛られないことが、大切だと知りました。そう考えると、熊と人の接近回数は驚くほど多そうです。人が気付いていなくとも、熊が先に人に気付き離れてくれたり、おとなしく隠れていたりするようです。

※ クマとの事故を避けるために!

 

⑴匂いに敏感になると良いです(熊は匂いが強いです)。

⑵クマの声というより、「そこには存在しないはずの音」に注意します。

 先日の経験ですが、林道に車を置き、河原に向かって歩き始めた時です。

 まるで重機が近くで地面をたたいているような音、しかも激しい振動。

 当然、即効退却!!

 …休日の山奥で、重機を動かす人はおりません。

⑶いまどき坂道で唸るような、日本車はありません。

⑷野生のクマを知ることが大切です。例えば、クマは下りが苦手だと言われていますが、人間よりはるかに得意です。

⑸実物のクマを見る!

 ひぐまさんを目前で見られるおすすめスポット…「サホロリゾート・ベアーマウンテン」。

 私たちも行ってきました。

 大きい、大きい、危ない、大きい。

 放し飼いのひぐまさんのド迫力を堪能出来ます。

 必要以上の大きさや、力強さを間近に見ることが出来ます。

 

               

<6月の21日、道北のとある林道!!>

 7人の普通の人。

 人里と離れたとある林道!!

 我々、7人の普通の人が林道を歩き始めた。

 5分、10分ほど歩いたでしょうか、林道に置かれた黒い塊。

 一つならず、次から次へと黒や乾燥した植物のような塊が道の真ん中に現れる。そして、林道の端の植物が引き裂かれている。誰かが引きちぎったか噛み切ったよう?そして目の前に現れた濃い緑色の固まり。

 そう、一同も青色に固まったかな?でも、私は前進する。

皆さんは、この様な時は必ず引き返してね!!